歴史と自然が織り成す場所、和歌山県を代表する観光名所といえば和歌山城です。
その歴史の一端を感じられる佇まいが、訪れる人々を魅了して止みません。
和歌山市の中心部にそびえるこの名城は、多くの歴史的出来事を見守ってきた和歌山のシンボルです。
ここでは日本の歴史と自然が融合した和歌山城の魅力についてご紹介します。
Contents
和歌山城とは
和歌山城とは、1585年に羽柴(豊臣)秀吉が紀州を平定し、後に弟の豊臣秀長に命じて築城させたものです。
姫路城、松山城と並ぶ「日本三大連立式天守」と称される天守を有する和歌山城は、虎伏山の山頂に創建され、史跡、または名勝として国に指定されている本格的な近世城郭(安土桃山時代以降に作られた城)とされています。
和歌山県の中心にそびえる和歌山城には、美しい天守閣や四季折々の風景が広がる和歌山城公園など、見どころがたくさんあり、家族連れやカップルにも人気の観光スポットです。
和歌山城の歴史
和歌山城の歴史は、豊臣秀吉が紀州を統一したことから端を発します。
和歌山城にまつわる主要な出来事を、順を追って解説します。
徳川家と和歌山城
和歌山城は紀州徳川家の拠点であり、江戸幕府において重要な役割を果たしました。
1619年、家康の十男・頼宣(よりのぶ)が18歳で入城し、紀州藩55万5000石の初代藩主となります。
それ以来、水戸・尾張と並ぶ徳川御三家の一つとして長い歴史を刻んできたのです。
紀州徳川家の成立後、二の丸西部・砂の丸・南の丸と増築され、ほぼ現在の姿となりました。
紀州徳川家の繁栄と共に城も発展し、江戸時代の終わり頃には全国で8番目の都市となり、和歌山の文化や政治の中心地として栄えることとなります。
天守閣の再建
和歌山城の天守閣は、昭和10年(1935年)に旧国宝に指定されましたが、昭和20年(1945年)の和歌山大空襲で焼失しました。
終戦後に市民から再建の強い機運が高まったことで、市民からの寄付によって鉄筋コンクリート造りでほぼ同じ姿で再建されたのです。
和歌山城の見どころ7選
和歌山城の魅力と言えば、大天守閣を中心とする美しい景観に加えて、歴史・自然・文化が融合している点にあります。
その中でも特に歴史・自然・文化を感じられるお勧めのスポットについてご紹介します。
重要文化財に指定されている城門「岡口門」
南東にある岡口門は徳川家が建造した二階建ての門で、空襲の際に焼けずに残った貴重な遺構です。
築城時は表門である大手門でしたが、浅野時代の後期から搦手門(裏門)として修復されました。
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高低差3m以上!御橋廊下
御橋廊下とは、水堀を挟んだ東にある二の丸と、紅葉渓庭園のある西の丸を結んでいたとされる廊下橋です。
この廊下橋は2006年に江戸時代後期に掛かれた図面を元に復元されたもので、江戸時代には藩主とお付きの者だけが通ることを許されました。
こうした廊下橋は福井城の御廊下橋などでも見られますが、和歌山城のように勾配があり、斜めにかかるものは全国的にも珍しいと言われています。
伏せた姿は二代目?伏虎像
江戸時代、和歌山城は別名「虎伏竹垣城」と呼ばれていました。
それは何故かというと、和歌山城が建つ山が虎の伏した姿に似ていたことからそう言われていたのだそうです。
今の伏した姿は二代目の像で、初代の像は立ち姿でした。
何故初代の像が無くなったのかというと、像は銅製だったことで、戦時中に金属類回収令によって取り上げられたと言うのです。
終戦後に天守閣が再建された翌年に二代目の像が、虎伏城の名の通りに伏した姿で設置されました。
名勝の西の丸庭園(紅葉渓庭園)
和歌山城の西の丸は、元々殿様が茶道や庭の景色を楽しむ場所でした。
園内には池が造られ、石橋や土橋がいくつも架かり、風光明媚な世界を作り出しています。
1973年に庭園の整備が進み、1985年には「西の丸庭園」として国の名勝に指定されました。紅葉が美しいことから「紅葉渓庭園(もみじだにていえん)」とも呼ばれています。
数寄屋造りの茶室では今も庭を見ながらお茶を楽しむことができます。
茶室「紅松庵」
西の丸庭園にある数寄屋造りの茶室「紅松庵(こうしょうあん)」は、昭和48年(1973年)の庭園整備を記念して建てられました。
これは寄付によって建てられたもので、和歌山市出身である松下幸之助氏(パナソニックホールディングスを一代で築き上げた創業者、経営者の神様と言われる人物)の寄付で翌年昭和49年の5月に完成したものです。
紅葉渓庭園の「紅」と、松下氏の「松」を組み合わせて命名されています。
紅松庵は一般にも開放されており、作法などを気にせず抹茶と和菓子を堪能することができます。
時代によって積み方が違う和歌山城の石垣
和歌山城の石垣は、様々な時代を反映した石の積み方を見ることができます。
西の丸庭園の南側にある石垣は大きな結晶片岩を積んだ野面(のづら)積みで、少し無骨な積み方で城内で最も古い石垣と考えられます。
時代が進むにつれ、大手門付近には打込接(うちこみはぎ)という、大きな石の隙間に小石を詰めた積み方に変わり、そして江戸時代に整えられた切込接(きりこみはぎ)という美しくきっちりと積み上げられた石垣も見られます。
石垣には再利用された石や、約140種類・2300個以上もの刻印が刻まれた石もあり、歴史の足跡を辿ることができます。
VRで和歌山城を知る!和歌山歴史館
観光案内所と土産品センターを併設している和歌山歴史館は、2階が展示室で「和歌山城の歴史文化」と「わかやま人物探訪」をテーマにした資料を展示しています。
江戸時代の和歌山城をVRで再現したシアタールームがあり、ここで往時の和歌山城の姿を理解してから出発すると、より城内散策を楽しむことができます。
城内にある動物園「和歌山公園動物園」
日本にはお城の敷地内にある動物園が3つだけあるのですが、実はその中のひとつは和歌山城の敷地内にある小さな動物園「和歌山公園動物園」なのです。
カピバラやペンギン、ミーアキャットやエミューなど約130点もの動物を飼育展示しており、開園から100年以上の歴史を誇ります。
和歌山公園動物園はなんと入場無料、そして園長はツキノワグマという変わった動物園です。
※2024年現在、園長であるツキノワグマのベニーは7月18日に亡くなっています。
参照:和歌山城公園動物園
和歌山城の魅力をたっぷり堪能しよう
和歌山城は、美しい自然と歴史的な建造物が映える観光スポットです。
紀州徳川家の居城として栄えたこの城には、日本の歴史や文化を感じさせるような多くの要素が詰まっています。
和歌山県を訪れる際には是非、和歌山城に足を運んで魅力を感じてください。