和歌山のグルメで鍋といえばクエ鍋を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
クエは「クエを食ったら他の魚は食えん」と言われるほど美味しい魚として有名です。
そんな美味しいクエの旬はいつごろなのでしょう?
ここでは幻の高級魚といわれるクエを美味しく食べるために知っておきたいことについてご紹介します。
Contents
クエってどんな魚?
クエは大型になる魚であるハタの仲間であり、成魚となれば体長1メートル、体重50kgを超えることがある海水魚です。
大きな頭と口が特徴的で、天然のクエは釣り人にとっても憧れの魚と言われています。
さらに詳しくクエの特徴について解説していきます。
クエの特徴
クエはスズキ目ハタ科に分類される魚で、南日本の太平洋沿岸から東シナ海沿岸の温かい海に生息しています。
幼魚のうちは浅い磯や潮だまりなどに潜んでいますが、成長すると水深50メートル程度の浅い海域で生息します。
群れを作らず単独で行動する魚であり、主に魚類やイカ、甲殻類を食べて過ごすのです。
見た目は全体的に茶褐色で縞模様が入っていますが、大きく成長するにつれて縞模様が目立たなくなっていく魚です。
性転換魚であるクエ
ハタは性転換する魚として有名ですが、ハタ科のクエもまた性転換する魚に該当します。
クエは幼魚の時期には雌として子を産み、60センチ以上になると雄になる雌性先熟(しせいせんじゅく)の性転換魚なのです。
つまり小型のクエはほとんどが雌で、60センチ以上の大物であればすべて雄のクエであると言えます。
豊富な呼び名を持つクエ
クエの縞模様が不規則な紋に見えることで「九絵」という漢字で書かれることがあり、また垢が付いたように穢れているように見えることから「垢穢」と書かれることもあります。
クエという名前は標準和名ですが、地域によって様々な呼び名で呼ばれています。
地域 | 通称 |
---|---|
西日本 | モロコ |
愛知 | マス |
三重 | クエマス、キョウモドリ |
四国 | アオナ |
山口県萩 | モスズ |
高知県浦戸 | イギス |
九州 | アラ |
沖縄 | イノミーバイ |
九州地方ではクエのことをアラと呼ぶ慣習がありますが、実はアラという魚はクエとは別に存在しているため、間違えないようにしてください。
九州でアラ鍋といえばクエ鍋のことを指すので注意しましょう。
クエってどんな味の魚?
白身魚であるクエですが、火を通せばまるで肉のような弾力で、脂が乗っていて旨味がとても強く、身離れが良い絶品の魚です。
頭部には濃厚な旨味があり、アラ汁などにすると濃厚な旨味がたまりません。
ヒレはひれ酒として楽しめます。
皮はプルプルとしたゼラチン質でコラーゲンがたっぷり含まれています。
さらにクエは20kg以上のサイズの大きな個体であればあるほど、肉質や脂ののりが格段に上がると言われています。
胃袋や肝も美味しく食べることができるため、昆布締めやお刺身でいただきます。
クエは「捨てるところがない魚」と言われていますが、その理由も納得です。
ニッポン全国鍋グランプリで金賞を受賞したクエ鍋
ご当地鍋日本一を決める「ニッポン全国鍋グランプリ」の2018年大会で、和歌山の日高町天然クエ鍋が金の鍋賞(グランプリ)を受賞したことがあります。
全国から集まった62の鍋の中で見事優勝したクエ鍋は、多くの投票者が納得する美味しさだったという証明です。
幻の魚と呼ばれている理由
漁獲量が少ないため市場に出回らない
クエが幻の魚と呼ばれる理由として、漁獲量が少ないことが理由のひとつに挙げられます。
群れを作らずに単体で行動するクエは、岩陰などに身を潜めて生息する「根魚」であることから、なかなか姿を現すことはありません。
夜行性のため夜になれば餌を捕食しますが、クエは小食なうえに捕食が終わるとすぐに巣に帰って隠れてしまうのです。
以上の理由により、一度に大量に水揚げすることができないことから市場にあまり出回らないため幻の魚と言われるようになったのです。
成長速度が遅い
クエは魚の中でも寿命が長い種にあたり、最大級に成長した個体の推定年齢は40歳前後になると言われています。
クエの成長スピードは1年で15センチ程度のため、一般的な大きさ(約60センチ前後)に成長するまでに5年程度を費やします。
大型個体を釣り上げたとなれば、新聞や雑誌などで取り上げられることがある程珍しいことです。
成魚の個体数の希少性からも幻の魚と言われる所以です。
クエは縁起物として重宝されている
クエは九絵と書かれることから「食べると九つの夢が叶う」「運を呼び寄せる」など、縁起の良い魚だと言われています。
特に九州地方では縁起を担ぐ人が多く、九州場所の力士がここ一番の勝負の前にはクエを食べて験を担いだり、商談の席ではクエでもてなすと商談が成功すると言われていたり、クエは縁起物として大変重宝されています。
市場でのクエの価格
市場での天然クエの相場は年間を通しておおよそ1kg7,000~8,000円前後になりますが、需要が高まる冬の時期になると1kg15,000円前後にまで上がります。
養殖や輸入物になると1kg3,000~5,000円程度です。
クエの漁獲時期と旬
クエ漁は一本釣りのため、漁獲量が少ない魚です。
なかなか市場に出回らないクエですが、クエにも漁獲時期や旬があるのでしょうか?
クエは通年漁獲されている
実はクエはほぼ1年を通じて水揚げされており、通年味が落ちない魚とされています。
しかし個体数が少ないため、自然保護の観点や抱卵による身痩せがあることを考慮し、初夏にあたる産卵期前後の漁獲は避けています。
10月下旬から2月までが旬
冬になれば海水温度の低下によって餌が少なくなるため、クエは冬に備えて秋頃から餌を沢山食べるようになります。
そうすることによって脂が乗ってくるため、秋から冬にかけて旬であるとされています。
クエは夏から秋にかけても美味しくなる
初夏は産卵期に当たるためクエの漁獲を避けていますが、産卵後は食欲が旺盛になり活発に餌を追い、沢山捕食して身質に脂をたっぷりと蓄えるため、身質の戻りが比較的早いです。
そのため夏はクエの裏旬と呼ばれており、年中クエを取り扱う鮮魚店や料理店では冬のクエよりも夏のクエを評価する声が多いのだそうです。
クエの美味しい食べ方はやはり鍋!
「捨てるところがない」と言われているクエには様々な食べ方や調理法がありますが、やはりクエの魅力を最大限に引き出す料理はクエ鍋が一番です。
身に火を通すことで白身がふわっとした食感になり、コラーゲンを含んだ皮やあらはトロトロになります。
最後にクエの旨味が溶け出した出汁でいただく締めの雑炊は最高の贅沢といえます。
幻の高級魚と謳われるクエ鍋をご自宅でもお楽しみいただけます
和歌山県白浜町にある魚彦水産では、南紀白浜を中心に上がった海産物を熟練の技術で捌き、鮮度を保ちながらより多くのお客様へお届けしております。
65年以上の歴史がある魚彦水産の新鮮なクエ鍋を是非ご家庭でご堪能ください。