和歌山県白浜にある三段壁(さんだんべき)という崖をご存じでしょうか?
かつては漁師が魚の群れや行き来する船を見張った場所でありましたが、今ではサスペンスドラマによく出てくる崖として人気の場所になり、白浜の主要な観光スポットの一つとなっています。
ここでは三段壁の見どころとその歴史についてご紹介します。
Contents
三段壁とは
三段壁は和歌山県南部に位置する白浜町にある、長さ2km、高さ60mに及ぶ断崖絶壁の大岩壁のことを言います。
熊野古道とともに注目される三段壁は、およそ1600万年前に海底に堆積した地層が隆起し、その後風化と侵食が続いて崩落して出来た崖だということです。
色々な地層が洗濯板のように凸凹しており、マーブル模様だったり層だったり、様々な絶壁を見ることができます。
断崖と太平洋が織り成す雄大な景色を見れば、迫力と美しさを同時に感じられることでしょう。
崖下には海蝕洞窟の三段壁洞窟があり、波や潮の流れから見られるリップル(漣痕、縞状の規則的な微起伏のこと)や潮吹き岩などを見ることができます。
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名勝に指定された三段壁
三段壁は2017年6月16日に開かれた文化審議会により、名勝に指定すべきとして既に指定されている円月島や千畳敷に追加する形で名勝に指定されました。
これによって周囲の観光開発が益々盛んとなり、今では主要な観光地として定着しています。
参照:文化庁 名勝
三段壁洞窟
三段壁の下にある三段壁洞窟は、一周約200mの通路が広がっている海蝕洞窟です。
この洞窟にはかつて平安時代の源平合戦で活躍した熊野水軍が船を隠していた場所だったという伝説があります。
奥には高さ3m、横幅2m、重さ3tもある日本最大級の弁財天である牟婁大辯才天(むろだいべんざいてん)が祀られており、このことから三段壁洞窟はパワースポットとしても人気です。
エレベーターで洞窟まで行けるので一般の人でも洞窟内部を見ることができます。
その他にも岩盤から海水が勢いよく吹き上がる潮吹き岩や、洞窟内から見ることができる荒々しい波しぶきを見ることができます。
三段壁洞窟と熊野水軍の伝説
熊野水軍とは平安時代に紀伊半島南東部、熊野灘、枯木灘に面した地域を拠点とした水軍で、当時は瀬戸内海の制海権を握っていたと伝えられました。
熊野水軍が三段壁洞窟に船を隠していたことから、洞窟内では熊野水軍に関する史料などが掲示されています。
当時洞窟内にあったと思われる熊野水軍番所小屋が史料によって再現されているため、洞窟の厳かな雰囲気とともに歴史を感じることができます。
瀬戸金山鉱山跡
洞窟内にはかつて正親町天皇(おおぎまちてんのう)の時代に開鉱された瀬戸金山鉱山跡(せとかなやまこうざんあと)の跡が残されています。
当時300か所以上あった鉱山の一つで、地上から地下に向かって縦に掘り進められた採掘場でした。
こちらも鉱穴(まぶあな)をそのままに当時を再現したものが展示されています。
口紅の碑
三段壁には「口紅の碑」という碑が残されています。
碑に刻まれている内容は
白濱の海は 今日も荒れてゐる
一九五〇・六・一〇
定一
貞子
このように記されています。
これは当時の堺市風南町に住んでいた大西定一(22歳)と、女は同所の須藤貞子(18歳)の二人の話です。
二人は先妻の子(定一)、現在の妻のつれ子(貞子)という関係でしたが、やがて二人は恋に落ちました。
認めてもらえない二人の仲、そして胸の病気を憂い、恋と厭世感から白浜に来た定一が妹の貞子を白浜へ呼んで二人で心中したという言い伝えがあります。
その際に二人は愛を誓う言葉として近くの岩場に口紅で最後の言葉を書き残しました。
二人の死後、友人が二人の思いが成就するようにと口紅に沿って岩を削って最後の言葉を残したことから、その岩は口紅の碑として現在まで残されているのです。
三段壁は恋人の聖地
口紅の碑のエピソードから「二人が永遠の愛を貫いた場所」として、三段壁は恋人の聖地として認定されています。
今ではハートのモニュメントやピンク色のポストなど、恋人にまつわるオブジェが設置されており、カップルやウェディングフォトを取りに来る若い夫婦が集まるスポットとして定着しています。
イルミネーションが開催されるなどのイベントも人気です。
三段壁周辺のおすすめ観光スポット
三段壁の周辺にはほかにも楽しめるスポットが沢山あります。
その中でもおすすめの観光スポットをご紹介します。
さんだん通り
三段壁洞窟に向かう道中にあるさんだん通りには、食べ歩きグルメとしてサザエのつぼ焼きやイカ焼きなどが路面で販売されているので、三段壁を眺めながら海の幸を楽しむことができます。
ソフトクリームなどの冷たいスイーツも売っているので、暑い季節にもうってつけです。
通りにはピンクポストが設置されています。
三段壁足湯
三段壁洞窟入り口前には絶景を見ながら無料で足湯を楽しめるスポットがあります。
この三段壁足湯は白浜温泉が源泉かけ流しで、ここから見る太平洋に沈む夕陽は絶景です。
天候によってはお湯を流していない日もあるので、是非天気の良い日に伺いましょう。
サドンロック
2018年、台風21号が通過した後に突如として三段壁の崖の上に現れた謎の岩。
この岩は長さ約4.2メートル、幅1メートル、高さ1.2メートルのサイズで、どこから来たのか、海からの波の力で打ち上げられたものなのか、それとも崖の上を転がってきたのか、なぜここにあるのか今でも解明されず謎に包まれたままです。
この岩は、2021年4月28日に「サドン岩」という名前が公募によって付けられました。
この名前には「サドン(突然)三段壁に現れた岩」という意味が込められているそうです。
三段壁は冒険心をくすぐられるワクワクスポット!是非家族や恋人とご一緒に
白浜にお越しの際には是非立ち寄ってほしいスポット、三段壁のご紹介でした。
自然が作り上げた壮大な景色を、数々の伝説に想いを馳せながら大切な人と一緒に巡ってみてください。