和歌山県内には世界遺産に登録されている場所がいくつかあります。
そのうちの1つである熊野古道は、大自然の中にあって神社が点在するという神秘的な空間であることと、1000年以上ある歴史を感じながら歩けるハイキングコースとして、現在人気の観光地となっています。
訪れた人を魅了する熊野古道、その魅力をご紹介します。
Contents
熊野古道とは
熊野古道とは、熊野三山へと続く道のことを言います。
熊野三山は…
- 熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)
- 熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)
- 熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)
- 那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)
以上の三社一寺の総称であり、そのうちの熊野本宮大社は日本全国にある熊野神社の総本山になります。
平安時代の頃、本宮・新宮・那智の熊野三山の信仰が高まり、熊野三山までの長く険しい道を歩くことが修行になると考えられていました。
仏への祈りと救いの道を歩く者は、皇族や貴族から一般の庶民まで、身分を問わず多くの人々が熊野を訪れたのだそうです。
多くの人々が熊野に参詣するために行列する様子を見て、「蟻の熊野詣」と例えられました。
ユネスコの世界遺産に登録された熊野古道
和歌山県、三重県、奈良県にまたがる山岳地帯のことを紀伊山地と言いますが、この紀伊山地は古来から神々が鎮まる特別な地域として信仰されてきました。
また、熊野は川や滝、巨岩などに神が宿るとした自然崇拝の地としても特別な場とされており、その大自然と文化的景観が類を見ないものとされ、2004年7月に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されました。
その後もミシュラングリーンガイドで最高の三ツ星を獲得するなど、世界的に評価されるようになったのです。
今では外国人観光客が多く訪れる観光地となっています。
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熊野古道の参詣道
熊野古道とは1本の道ではなく、5本の道から成り立っています。
全長が1,000kmほどあり、その道は和歌山を始め三重、奈良、大阪、京都にまで跨ります。
5つの参詣道とは…
- 中辺路(なかへち)
- 伊勢路(いせじ)
- 小辺路(こへち)
- 紀伊路(きいじ)
- 大辺路(おおへち)
それぞれの路の特徴について詳しくご紹介します。
中辺路
中辺路は、和歌山県田辺市の市街地から東に進み、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社へと続くルートです。
中辺路は最も多くの人が歩いてきた路の1つであり、初めて熊野古道を訪れる観光客におすすめの初心者向けコースです。
平安時代から鎌倉時代では皇族や貴族の公式参詣道として使われていたこともあり、かつては後鳥羽天皇や藤原定家、和泉式部も歩いた路だと言われています。
伊勢路
伊勢路は紀伊半島の東側を通るルートで、伊勢神宮から始まり熊野三山を結ぶ参詣道です。
日本一とも言われている棚田を望むコースや、峠から捕鯨文化を誇る熊野灘を一望できるコース、熊野川の参詣道など、多彩な風景を楽しめるルートです。
道中にある「松本峠」は竹林に囲まれた峠で、ほとんどの道には美しく敷き詰められた石畳が今でも残っています。
小辺路
高野山と熊野本宮大社を繋ぐ小辺路、こちらのコースは伯母子峠、三浦峠、果無峠などの1000m級の峠があり、山越えが何度もある道のため、登山慣れしている人向けの上級者コースです。
小辺路には、途中にある三十三観音像の石仏や茶屋跡などを辿ることができます。
そして、果無峠近くにある小集落である果無集落(はてなししゅうらく)は古き良き日本の生活が今も残っている場所で、山々の中に広がる田んぼや畑の原風景を見ることができます。
果無集落はそこから果無山脈を見渡すその美しさから「天空の郷」と呼ばれ、にほんの里100選にも選ばれました。
紀伊路
紀伊路は大阪と熊野を結ぶルートで、京都の鳥羽離宮(現在の城南宮)から淀川を下り大阪に入って、和歌山市、海南市、有田市などを通ります。
道中には万葉集をはじめとした有名な和歌が詠まれた景勝地や、伊太祁曽(いたきそ)神社、藤白神社、道成寺、得生寺などの由緒ある社寺が点在しています。
山と海を眺めながら、果樹園や街中を通るため、道中飽きる事なく歩くことができるでしょう。
大辺路
田辺市から那智勝浦町の浜の宮までの道を紀伊半島に沿って海岸線を歩くコースです。
海と山が織りなす美しい景色は、風光明媚なことから江戸時代には信仰と観光を兼ねた路として人気でした。
道中には山王橋という川が荒れたときに流されないよう柵が設置されていない潜水橋があり、橋の上を歩けば解放感とスリルが味わえます。
インバウンドで盛り上がる熊野古道
現在の熊野古道はインバウンド人気が高く、外国人観光客のリピーターが増えています。
人気の秘密は自然と美しい風景は勿論のこと、社寺が点在するスピリチュアルな空間と日本の歴史を一度に感じられるからだそうです。
しかし、熊野古道は自然に人気観光地になったわけではありません。
熊野本宮大社のある本宮町で外国語指導助手(ALT)をしていたカナダ出身のブラッド・トウルさんが、熊野古道の魅力を世界にも知ってもらいたいと、地元の人の意識改革をはじめ、外国人観光客を受け入れるための環境整備、情報発信など、数多くの改革をしたことによって現在の熊野古道人気があります。
熊野古道のお土産は人気漫画家がデザインしたお守りがおすすめ
日本神話に登場する八咫烏という神をご存じでしょうか?
八咫烏は熊野大神に仕える存在として信仰されている熊野のシンボルです。
そのため熊野本宮大社のいたるところで八咫烏のモチーフを見ることができます。
そんな八咫烏で有名な熊野本宮大社には、八咫烏をモチーフとした御朱印やお守りが多く売られています。
その中でも人気なのが、「ジョジョの奇妙な冒険」で有名な荒木飛呂彦先生がデザインした和の守です。
世界遺産に登録されている熊野古道と、同じく世界遺産に登録されているスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ、2つの巡礼道のつながりを通じて、日本とスペインだけではなく、世界の人々が「和合」し、平和への道を進むことを祈念して調製されたお守りなのだそうです。
熊野本宮大社を訪れた際には、是非授かりたいお守りになります。
参照:熊野本宮大社 和の守
世界が称賛する熊野古道、実際に歩いて祈りの道を体感しよう
神秘的な自然と霊場の融合が織りなす熊野古道、歴史の足跡を辿りながら心身共に癒される旅はいかがでしょうか。
和歌山に訪れた際には是非、世界遺産である熊野古道を訪れてみてください。