セミノールという果物をご存知でしょうか?
セミノールは主に関西地方で見られる果物なので、全国的にはまだあまり知られていないフルーツかもしれません。
セミノールはオレンジとは異なり、甘さと酸味が絶妙なバランスを生み出し、濃厚で非常にジューシーな味わいが楽しめます。
ここでは、セミノールの魅力と和歌山県おすすめの食べ方についてご紹介します。
Contents
セミノールとは?和歌山で採れるセミノールの特徴
見た目はみかんに似ているセミノールですが、みかんとの違いは一体何でしょうか?
セミノールの魅力と併せて特徴について解説します。
セミノールとは
セミノールとは和歌山県の特産品である柑橘類の一種です。
1個のあたりの重さは150g~200gで、サイズや見た目は温州みかんに似ているのですが、セミノールは表面がつるっとしており、鮮やかな赤褐色をしています。
果汁の量が非常に多くて房(瓤嚢)が薄くて食べやすいところと、みずみずしくて芳醇な香りが特徴的な果物です。
一部の地域では「サンクイーン」や「紅小夏」という名前で知られています。
セミノールは、グレープフルーツ(または文旦類)とミカン類が交雑して生まれたタンゼロという柑橘グループに属し、「ミネオラ」や「スイートスプリング」などと同じ仲間です。
セミノールの歴史
セミノールはアメリカでダンシータンジェリンとダンカングレープフルーツを交配して生まれた品種で、1955年和歌山県に導入されました。
1910年代にアメリカ農務省の試験場で開発されたセミノールは、太平洋戦争の後に農学博士の田中長三郎によってカリフォルニア大学から日本に持ち込まれ、日本で栽培されるようになりました。
その後、三重県の篤志家である桂清吉が、田中長三郎の庭で枝変わりのセミノールを見つけ、それが商品化されたと言われています。
和歌山県はセミノールの収穫量日本一
現在、全国で約2,573トン収穫されているセミノールですが、そのうち和歌山県では1,356トンが収穫されています。
これは収穫量第2位の大分県に比べて倍以上の収穫量となり、和歌山県のセミノールは圧倒的な全国シェアを誇っているのです。
【合わせて読みたい記事】
セミノールの収穫時期と食べ頃について
セミノールは主に3月下旬から4月上旬に収穫されますが、そのままの状態では酸味が強いため、暫くの間は蔵などで保存され、酸味が程よく抜けた後に出荷されます。
店頭に並びだすのは4月下旬であり、4月下旬から5月中旬になるとちょうど食べ頃を迎えます。
セミノールの美味しい食べ方
一般的にみかんを食べる場合は、手で皮をむいてから食べることが多いですが、セミノールの皮は固いので、手で剥くことは難しいでしょう。
果汁が多いセミノールはナイフでカットしてから食べる方法がおすすめです。
横半分にカットしたら、グレープフルーツのようにスプーンで掬って食べた方が果汁を余すことなく味わえる上、手が汚れる心配もありません。
放射状にスマイルカットにすれば更に食べやすくなり、薄皮も一緒に食べることができます。
セミノールは追熟できる
店頭に置かれるセミノールは食べ頃のものと、少し日を置いた後に食べ頃になるものがあります。
セミノールは収穫後でも追熟ができるので、食べるにはまだ早いかな?と感じたら追熟してみましょう。
爪楊枝などで数か所に穴を開けたビニール袋にセミノールを入れて、日光に当てれば早く甘みが増します。
見た目は見劣りするようになりますが、直射日光に当てるだけでも3~5日で甘みが強まります。
もっと早く追熟を望む場合は、りんごと一緒に袋に入れてみてください。
密封した袋にリンゴ1個に対してセミノール2~3個を入れると数時間で甘くなります。
リンゴが発するエチレンガスが、セミノール内のでんぷん質を糖分に分解してくれるからです。
セミノールはビタミンAが豊富
柑橘類の栄養素と聞いて多くの人が思いつくものがビタミンCですが、セミノールに関して言えば、ビタミンCよりもビタミンAが豊富に含まれているところがポイントです。
セミノールの主な栄養素 | 効能 |
---|---|
ビタミンA | 目や皮膚の粘膜を健康に保ち、抵抗力を強める働きがあります。 暗い場所に目が慣れる能力や、角膜や目の粘膜の修復、視力の低下を防ぐ効果が期待できます。 |
ビタミンC | メラニン色素の生成を抑える効果があるためシミ予防としての美白効果があります。 免疫力を高める効果もあるため、風邪予防としても効果があります。 |
β-クリプトキサンチン | 骨代謝を整えるため、骨粗鬆症リスクが軽減される効果があります。また血中β-クリプトキサンチンが多いと脂質代謝異常の発症リスクが低下することが分かっています。 |
ペクチン(食物繊維) | 水溶性食物繊維のひとつで、摂取した糖質の吸収を遅らせ、血糖値の急激な上昇を抑える作用があります。 コレステロール値の上昇も抑えることができるため、動脈硬化の予防にもなります。 |
クエン酸 | 血液をサラサラにする働きや、低血圧や鉱脈効果を予防する働き、疲労回復の効果があります。 |
美味しいセミノールの選び方
セミノールを選ぶ際は、色が濃く鮮やかな赤褐色で、皮に張りとツヤのあるものを選びましょう。
手に取った際に重みがあれば、中の果汁が豊富であることを示しているため、ずしりと重みを感じるものが良いです。
皮の色が薄い、表面がゴツゴツしている、実から皮が浮いている状態(浮き皮)のものは、風味が損なわれているため避けましょう。
セミノールは春が旬!和歌山で採れたジューシーなセミノールを味わって
セミノールは、柑橘類の中でも高級で、贈答品としても喜ばれるお品です。
皮を剥くのが固くて手間がかかり、他の柑橘と比べて日持ちしないというデメリットはありますが、ジューシーで栄養価が豊富、芳醇な香りと深い味わいがセミノールの最大の魅力です。
セミノールの口いっぱいに広がる果汁と、爽やかな香りをお楽しみください。