和歌山県はフルーツ王国と呼ばれるほどに、多くの種類の果物が収穫されています。
和歌山県で有名な果物といえば、みかんや梅、柿などがありますが、八朔もそのうちの一つです。
ここでは、八朔とはどのような果物なのか、身体に良い栄養素と美味しい食べ方についてご紹介します。
Contents
八朔(はっさく)とは
八朔はミカン科ミカン属の日本原産の柑橘類です。
ミカンに比べて球体に近い真ん丸で、直径はおよそ7~10センチ程度、橙色寄りの黄色をしています。
元々は広島の因島で発見された果物で、因島田熊町のとある家の畑に住人が食べて捨てた柑橘の種から2本の樹が生え、そのうち実がなったので食べてみたら美味しかった、というのが八朔の誕生と言われています。
八朔の美味しさ
八朔の味わいは甘さと酸味の中に夏ミカンや文旦のようなほろ苦さと、張りのある砂じょう(果汁が入っているツブツブ)によって生まれるザクザクとした歯ごたえが特徴の果物です。
酸味・甘味・苦味がバランスよく味わえることが八朔の魅力と言えます。
八朔の生産は和歌山県紀の川市が日本一
和歌山県内では、みかんの収穫が終わる1月から4月までの期間に収穫できる果実の種類が少ないことから、昭和42年頃から水田の転換作物として八朔が導入されるようになりました。
和歌山県の気候は温暖なため、寒さに弱い八朔の栽培に適した環境であり、現在八朔の国内収穫量の70%以上のシェアを和歌山県が占めています。
そのシェアナンバーワンの和歌山県の中でも収穫量50%以上を占めているのが紀の川市なのです。
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八朔に含まれる栄養素とその働き
八朔には疲労回復や美容効果などが期待できる栄養素が含まれており、積極的に食べたい果物と言えます。
主な栄養素は以下の通りです。
ビタミンC
ビタミンCは、抗酸化作用によりLDLコレステロールの酸化を抑制する働きがあり、ホルモンの合成や鉄の吸収を促進します。
さらに、メラニン色素の沈着を抑制する効果もあるので美白効果も期待できます。
ナリンギン
苦み成分のナリンギンは、グレープフルーツにも含まれているポリフェノールの一種です。
毛細血管を強化して血流改善や高血圧予防、抗アレルギーなどの効果があります。
ナリンギンには食欲抑制作用や抗酸化作用もあるので、ダイエット効果も期待できる栄養素です。
クエン酸
柑橘類に共通して含まれている営巣素のクエン酸には、疲労回復のほかにカルシウムの吸収を助けたり、胃液や唾液の分泌量を増やすことから胃腸の働きを整える効果もあります。
カリウム
カリウムはミネラルの一種であり、ナトリウム(塩分)を体外へ排出する働きや、筋肉の収縮、血圧の上昇を抑える働きがあります。
アスパラギン酸
アミノ酸の一種であるアスパラギン酸には疲労物質である乳酸の分解や、たんぱく質の合成を助けるため、疲労回復を助けます。
ビタミンP
八朔の白い筋や瓤嚢(じょうのう)に多く含まれている栄養素で、ビタミンCの働きを助けることで毛細血管の強化、抗アレルギー、抗酸化作用をサポートします。
美味しい八朔の見分け方
美味しい八朔を選ぶ際のポイントはいくつかあります。
まず、実の周りに葉がしっかりとついていることを確認しましょう。
また、皮のハリがあるものや香りが良いもの、手に持ったときに重みを感じることも重要です。
実は艶があって明るい橙色で甘くさわやかな香りがするもの、ヘタが緑色のものが美味しいとされています。
逆に、しわしわとしなびた皮や、茶色い部分があるものは避けましょう
八朔の食べ方
八朔は外側の皮も果肉を包む薄皮も固く、手で皮をむくのは一苦労です。
また、房ごと食べると折角の果肉のザクザクとした歯ごたえを損なってしまいます。
八朔を美味しく食べる際は、薄皮をしっかりと剥いて食べる方法をおすすめします。
八朔の切り方
八朔の効率的な切り方は以下を参考にしてください。
- 八朔の天と地を5ミリ程の幅で度切り落とす
- 果肉に沿ってリンゴの皮むきの要領で、包丁で剥いていく
- 皮が剥けたら手で房をバラバラに剥がして、薄皮を剥がす
丁寧に向いた八朔のお味は格別です。
八朔の美味しい食べ方
皮や房を剥いて生で食べるだけでも美味しい八朔ですが、房や筋にも栄養素は詰まっているので、身体の事を考えて食べるなら房ごと食べてみましょう。
八朔の房はミカンなどに比べて固めなので、よく噛んで食べてください。
八朔の苦みが気になる場合は、はちみつやシロップ漬けにして食べる方法もおすすめです。
クリームチーズとも相性が良いので、八朔にクリームチーズを添えて、オリーブオイルと黒コショウを掛ければ白ワインのお供にピッタリです。
八朔の保存方法
ここでは八朔を丸ごと保存する方法と、向いた八朔の保存方法をご紹介します。
丸ごと保存する場合
八朔は冷暗所で保存すれば2~3週間程度は持ちます。
段ボールに入っているものであれば段ボールから出し、日が当たらず風通しの良い涼しい場所に置くのが良いでしょう。
段ボールに入れたままや、湿度が高い場所であるとカビが発生した場合に他の八朔にもカビが写ってしまう恐れがあるからです。
冷蔵庫に入れる場合は、乾燥を防ぐためにラップで包むか、ポリ袋に入れて野菜室で保存してください。
これらの保存方法を守ることで、八朔の美味しさを保つことができます。
剥いた八朔を保存する場合
皮や房を剥いた八朔はタッパーなどに入れて冷蔵庫で保存してください。
冷蔵庫に入れて半日ほど冷やして食べると味が引き立ち、更に美味しく食べられます。
しかし、皮を剥いて1日以上冷やしておくと苦みが増す場合があるので、1日で食べきれる量だけ向いて冷やしましょう。
八朔の美味しさはひとつじゃない!和歌山に来て確かめてみて
和歌山で採れた八朔はそのまま出荷される以外にも、マーマレードやジュース、ゼリー、シャーベット、ドレッシング、クラフトビールなど、様々なものに加工されて販売されています。
紀の川市では地域活性化として「紀の川はっさくプロジェクト」を推進しており、2022年には紀の川フルーツ観光局で「紀の川はっさく」商標を登録し、その商標を色々な八朔商品に使用して販売しています。
あらゆる八朔の食べ方を堪能できるのはフルーツ王国である和歌山ならではです。
美味しい八朔を堪能するなら是非、和歌山に足を運んでみてください。