コラム

紀州備長炭はプロから選ばれる理由がある!生産量日本一の紀州備長炭について解説

紀州備長炭

一般の人が備長炭と聞いて、どのような使い方を思い浮かべるでしょうか?

おそらくバーベキューや焼き鳥、七輪での焼き魚などの調理の時に使うことを思いつく人が多いでしょう。

実際備長炭で焼いた料理は炭の効果で美味しくなりますが、備長炭の魅力はそれだけではありません。

和歌山では紀州備長炭というブランド炭が作られていることをご存じでしょうか?

ここでは和歌山が誇る紀州備長炭について、備長炭の魅力と併せて解説します。

紀州備長炭とは

紀州備長炭とは

和歌山県のカシなどの原木を使って作られた備長炭、それが紀州備長炭です。

2006年に和歌山県木炭協同組合の地域団体商標になりました。

紀州備長炭の定義とは

  • 白炭のうちウバメガシ(カシ類を含む)を炭化したものであること
  • 固定酸素が90%以上、精錬度(炭化の度合いのこと)が0~2度(炭化温度が800~900度以上)であること
  • 県無形民俗文化財の指定を受けている製炭技術によって製造されたもの
  • ウバメガシを主体とするカシ類の天然木を原料として県内で製炭される白炭であること

以上の項目とされています。

紀州備長炭の歴史

紀州備長炭の歴史

紀州備長炭は江戸時代、紀伊国田辺(現:和歌山県田辺市)地方出身の炭問屋・備長屋長左衛門(びっちゅうやちょうざえもん)により紀州で作られました。

それを自身の名前から取って「備長炭」と名付けて江戸に向けて販売したのです。

長左衛門が江戸をはじめとした多くの地方に備長炭を流通させたことで、備長炭の名は全国で広まり、それまでになかった高性能な木炭として大変な人気商品となりました。

黒炭と白炭の違い

日本で製造されている木炭は、炭質に基づいて「白炭(シロズミ)」と「黒炭(クロズミ)」の二つの種類に分けられます。

どちらも基本的な焼き方には大きな違いはありませんが、焼かれる過程での火の消し方によって、これらの木炭の特性が大きく異なります。

黒炭

黒炭は、木を炭化させる過程で作られる特別な炭のことを言います。

炭化の過程では温度が大体400度から700度の間で行われ、その後炭化が終わると釜口や煙道口を石や粘土で密閉します。

これによって炭の中の火が消え、その後炭を冷やしてから釜口を開け、出来上がった炭を取り出します。

この炭は冷却後に釜口を開けるため、表面が黒いままで白炭のように灰がつかないため、「黒東(くろひがし)」と呼ばれています。

黒炭は一般的に白炭よりも炭質が柔らかく、火が付きやすく、短時間に勢いよく燃えて火が消えにくいという特徴があります。

白炭

白炭とは炭焼きの最終段階で使われる特別な炭のことです。

この白炭を作るために、ほぼ焼きあがった炭を約1300度の高い温度で再び燃やします。

その後、真っ赤になった炭を取り出し、灰や土を混ぜた消粉をかぶせ、急速に冷やす作業を行います。

白炭の火付きは黒炭に劣りますが、火力が強く、安定した火力が続き火持ちが良いところが特徴です。

白炭を燃やすと時折パチパチと音がすることがあります。

これは炭に含まれる水分や硫黄などのガスが熟されてはじけるために起こる現象で、「爆跳(ばくちょう)」と呼ばれています。

ただし、高温で焼かれた白炭は炭の中の水分やガスが完全に燃焼されているため、通常は炭火の状態で火花が飛び散ることはありません。

参照:和歌山県 紀州備長炭

紀州備長炭の使用法

紀州備長炭を入れて炊いた米

紀州備長炭の用途は火にくべて食材を焼くだけではありません。

焼き物以外の使用法をご紹介します。

水を美味しくする

紀州備長炭を水道水に入れれば、塩素や悪臭の原因となるカルキ臭を吸着してくれます。

また、備長炭に含まれるミネラル成分(マグネシウム、マンガン、カルシウム、鉄分など)が水に溶け出し、水をまろやかでおいしい味わいに変えてくれます。

備長炭から放射される遠赤外線は水の分子を小さくし、吸収力の高いすっきりとした味わいの水に変えてくれるのです。

お米がふっくら美味しく炊ける

お米を炊く際に紀州備長炭を一緒に釜に入れて炊けば、カルキ臭が消えることは勿論、炭から溶け出したミネラルと、放射される遠赤外線の働きでお米一粒一粒に熱が行き渡り、ふっくらとしたお米を炊くことができます。

お風呂のお湯が温泉のように滑らかになる

湯船にお湯を張った時に紀州備長炭を入れておくと、水の分子が微細化し、肌に滑らかな感触のお湯に変化します。

また、遠赤外線の働きにより体の芯まで暖まり、湯冷めしにくくなるメリットがあります。

アルカリ性の備長炭を入れたお湯は温泉と同じくらいの入浴効果を得ることができるのです。

紀州備長炭を部屋に置くだけで臭いや湿気を吸着

消臭用紀州備長炭

吸着効果を持つ紀州備長炭は、水だけでなく部屋の臭いや湿気にも有効とされています。

近年、紀州備長炭からは健康に良いとされるマイナスイオンが発生していることが確認されており、部屋の中でも自然環境と同様のイオンバランスを保つことが注目されています。

そのような効果を期待して住宅を新築する際に消臭、脱臭、防腐効果がある「敷き炭工法」という工法が採用されているほどです。

備長炭洗濯で洗剤要らず

紀州備長炭を洗濯槽に入れて一緒に洗えば洗濯物が綺麗になります。

備長炭はアルカリ性の性質を持っているため、酸性の汚れを落としてくれるのです。

また無数に空いた小さい孔が汚れを吸着してくれます。

洗剤を使わないで済むことから環境に優しいうえに、敏感肌の方にも優しい洗いあがりに。

更にすすぎの回数が減ることで節水効果が期待できます。

備長炭を入れると同時に天然塩を入れれば、殺菌効果もあるのでより洗濯効果が高まります。

生活に備長炭を取り入れるなら和歌山の紀州備長炭がおすすめ

和歌山で作られる紀州備長炭の魅力をお伝えしました。

紀州備長炭は長い歴史の中で人々から愛され続けた備長炭だからこそ、現代でも多くの人から重宝されていることが伺えます。

紀州備長炭の用途は多岐に渡るため、日々の生活の中で使うものとして、環境に配慮した紀州備長炭を使うという選択があってもいいのではと考えます。

炭のある暮らしで快適な生活を送ってみてはいかがでしょうか。