コラム

金山寺味噌は和歌山が誇るおかず味噌、その歴史とおすすめの食べ方をご紹介

金山寺味噌

日本の発酵食品の代表格ともいえる味噌は、1,300年もの長い間日本の食生活を支えてきた伝統食品です。

土地の気候や文化によって日本各地に色々な種類の味噌がありますが、和歌山県には紀州金山寺味噌という他の味噌とは別の特徴を持つ味噌が作られています。

ここでは金山寺味噌の魅力と美味しい食べ方について説明します。

紀州金山寺味噌とは

金山寺味噌とは

和歌山県湯浅町の特産品である紀州金山寺味噌とは、一般的な基礎調味料としての味噌とは一線を画す「食べる味噌」として有名な味噌です。

紀州金山寺味噌は和歌山県で初めてGI(地理的表示)認定を受けています。

参照:農林水産省 地理的表示(GI)保護制度

醤油発祥の地と紀州金山寺味噌

紀州金山寺味噌の生産地である湯浅町は醤油発祥の地とも言われていますが、実は湯浅醤油が生まれたきっかけは紀州金山寺味噌の製造過程で生まれた副産物だったのです。

紀州金山寺味噌があったからこそ湯浅町は醤油作りで栄えたといえます。

【合わせて読みたい記事】

和歌山の湯浅醤油は日本の醤油のルーツ!その伝統文化と古式製法によってできた美味しさについて解説

紀州金山寺味噌の味と特徴

米や麦、瓜、茄子、生姜、紫蘇と麹を一緒に仕込んで発酵・熟成させた紀州金山寺味噌は、まろやかで甘味があり、柔らかな味わいです。

野菜も入っているため食感もあり、おかずとしていただけます。

野菜が入っているのは昔夏野菜を冬にも食べられるようにと保存食として自家生産されてきたためです。

一般的な調味料としての味噌と比べると、炭水化物を多く含むためカロリーは高いですが、塩分は少な目です。

一般に流通している金山寺味噌との違い

日本国内で一般に流通している金山寺味噌ですが、紀州金山寺味噌と同じ名前ではあるものの原料に違いがあるのです。

味噌の原料には以下の違いがあります。

味噌の種類主な原料
金山寺味噌大豆、小麦、瓜、茄子、生姜
紀州金山寺味噌米、裸麦、大豆、瓜、茄子、生姜、紫蘇

もろみ味噌と紀州金山寺味噌との違い

見た目が近いことから、もろみ味噌と紀州金山寺味噌は同じ味噌なのではと考える人もいると思いますが、実はふたつの味噌には明確な違いがあります。

紀州金山寺味噌の原料には瓜・茄子・紫蘇・生姜が使用されていますが、もろみ味噌には野菜は一切入っていないのです。

食べ方にも違いがあり、紀州金山寺味噌はおかずとして、又は常備菜として食べられる味噌ですが、もろみ味噌はきゅうりの上に乗せて食べたりと、調味料として使われることが多い味噌です。

どちらもなめ味噌という分類ですが、両者にはこのような違いがあるのです。

紀州金山寺味噌の歴史

金山寺味噌の歴史

紀州金山寺味噌の起源は諸説あるのですが、最も有力な説は鎌倉時代に由良の高僧である覚心(かくしん・法燈国師)が現在の和歌山県湯浅地方、御坊地方などに製法を伝えたとされる説になります。

覚心が中国の宋に渡り修行を積む傍らで浙江省径山寺にて径山寺みそ(後の金山寺みそ)の製法を習得して帰国しました。

その後に紀伊由良に興国寺を建立し、興国寺から自給自足を行う禅寺を中心に金山寺味噌の製法が伝授されたと伝えられています。

その後300年余りは農家が保存の利く常備菜として自家生産していましたが、江戸時代に入ってから幕府の目にとまり、そこから紀州名物として商品化されて販売されて今の製造法になったのです。

紀州金山寺味噌はどのようにして作られるのか

金山寺味噌作り

紀州金山寺味噌はどのような工程で製造されるのでしょうか?

大まかな流れを説明します。

混合麹を作る

米、大麦、裸麦、大豆の4つの穀物にコウジカビを付けて麹を作ります。

4種の穀物は洗浄、浸漬を行ってから蒸されて種麹が付けられます。

寝かせた麹に塩漬けされた野菜を加える

発酵させた麹に予め洗浄、細断して塩漬けした瓜、茄子、生姜、紫蘇を混ぜ、樽に仕込み製麹します。

2ケ月程熟成させたら完成

樽は温度管理された室(むろ)で寝かされてから製麹までおよそ2ケ月ほど掛かけて金山寺味噌となります。

紀州金山寺味噌の美味しい食べ方

そのまま食べて美味しい紀州金山寺味噌は、ごはんに乗せたり、お酒の肴にとてもよく合います。

和歌山の郷土料理に、番茶やほうじ茶で炊いたおかゆのことをいう茶粥(おかいさん)というものがありますが、昔からこの茶粥と一緒に食べられてきたものが紀州金山寺味噌でした。

茶粥に紀州金山寺味噌、和歌山ではこの組み合わせが定番の食べ方なのです。

マヨネーズと和えてディップ

金山寺味噌マヨディップ

マヨネーズに和えるだけで立派なディップの完成です。

野菜スティックに付けたり、クラッカーに乗せれば美味しくいただけます。

焼いた厚揚げの上に塗ったり、エビマヨのソースとしてもおすすめです。

肉に漬けて置けばお肉の味噌漬け焼きに

金山寺味噌漬け焼き

豚ロース肉に紀州金山寺味噌を漬けて寝かせておけば、豪華な豚の味噌漬け焼きにもできます。

味噌に含まれる麹が豚肉に含まれるたんぱく質を分解するため、肉質をやわらかくジューシーにしてくれます。

鶏肉に塗って焼いても美味しいです。

おにぎりに塗って焼きおにぎりに

金山寺味噌焼きおにぎり

ごはんと相性抜群の紀州金山寺味噌なら焼きおにぎりにしても美味です。

野菜が入った味噌を塗って、いつもの焼きおにぎりよりも満足感が得られること間違いなしでしょう。

紀州金山寺味噌×発酵食品は相性抜群!

紀州金山寺味噌は発酵食品と相性が良く、チーズと一緒に食べたり、ピザのトッピングにしても意外と合うのです。

紀州金山寺味噌を塗ったチーズトーストなどは手軽に作ることができて朝食にぴったりです。

紀州金山寺味噌を家庭でもっと楽しもう

金山寺味噌ディップ

昔ながらの製造法を継承して作られた紀州金山寺味噌は、ご自宅でいただくことは勿論のこと、和歌山土産として、贈答用として誰からも喜ばれること間違いなしの一品です。

アレンジも自由自在なので、まだ食べたことがない人はこれを機に紀州金山寺味噌を食べてみて美味しさを知って欲しいと思います。