和歌山県はみかんの生産日本一を誇る県ですが、中でも「有田みかん」は全国的に有名な高級みかんとして多くの人から愛されています。
和歌山の有田みかんといってもどのようなみかんなのか、他のみかんと何が違うのか、有田みかんの旬はいつ頃なのかなど、有田みかんについてどれくらい知っていますか?
こちらでは有田みかんの魅力についてご紹介します。
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Contents
有田みかんとは?
有田みかんという名前は品種名ではなく、和歌山県中部にある有田地域で生産された温州みかんのことを指します。
和歌山県のみかんの栽培面積は8千haで、44万tの生産量を誇り、 そのうち有田地区で3400haの面積で、年間約7万4千tが有田みかんとして生産されているのです。
有田みかんの歴史
実は和歌山県の有田みかん栽培には450年という長い歴史があります。
有田地域のみかん栽培の歴史は、享禄2年に京都の貴族が土産として持ち込んだことから始まったとされており、それから有田地域でみかん栽培が本格的に盛んになったのは江戸時代以降といわれています。
江戸時代元禄期、当時みかんの価格が江戸では高く、紀州では安かったため、商人である紀伊國屋文左衛門が、紀州の安いみかんを江戸に運ぼうと船で嵐の中を運輸したというみかん船伝説の話は「かっぽれ」の唄にも出てくる有名なお話です。
有田みかんの美味しさの秘密
甘くてジューシーで美味しい有田みかんですが、この美味しさの秘密はどこからくるのでしょうか?
知れば知るほど食べたくなる、有田みかんの秘密を紐解いていきます。
有田みかんは糖度が高い
みかんは水分を多く取ると果皮のみが成長してしまい、果皮と果肉の間にすき間ができて味が薄くなります。
生産地である和歌山県有田市は年間を通して温暖な気候で夏に雨が少ない地域です。
そして石垣階段型の畑によって木には太陽の光が多く当たり、急斜面を利用した水はけのよい段々畑で生育されます。
つまり和歌山県有田市は温州みかんの栽培に適した地域であり、この生育条件が糖度の高いみかんになるため、有田みかんはジューシーで甘いみかんになるのです。
有田みかんは高品質
高級みかんである有田みかんは、手作業で収穫して人の手で選別したものを販売している農家さんが今もいます。
熟練の目の肥えた農家が直接選別しながら収穫・箱詰めしているため、新鮮で美味しいみかんだけが市場に出回るのです。
2006年には地域団体商標の第一弾として「有田みかん」が認定され、今では和歌山県有田の地域ブランドとして認められています。
有田QUALITY認定制度
有田市には有田みかんの中の有田みかんである「有田QUALITY」を認定する制度があり、世界的なパティシエである鎧塚俊彦さんや野菜ソムリエの資格を持つタレントの大桃美代子さんらをはじめ、著名な味覚のプロが集まりみかんの審査をして、高品質と認められれば「有田QUALITY」の認定ラベルが貼られて出荷されます。
「有田QUALITY」の有田みかんは通常の市場価格の2倍の価格で取引される最高級みかんとなるので、品質が認められたみかんだといえます。
有田みかんはビタミンが豊富な健康食
みかんにはビタミンCをはじめ、様々な栄養素が詰まった体に良い食料といわれています。
栄養素は主に以下のものが含まれています。
有田みかんにある栄養素 | 効果 |
---|---|
ビタミンC | 肌を黒くするメラニン色素の形成進行を抑える働きがあるため美白に効果があります |
β-クリプトキサンチン | 骨形成の働きを助け、破骨細胞の働きを抑えるため骨の健康維持に有効です |
食物繊維(ペクチン) | 水溶性食物繊維のひとつで袋や白い筋に多く含まれており、便秘解消や血糖値の上昇を抑制します |
βカロテン | ビタミンAに変換されて作用することにより、皮膚や粘膜を健康に保つ効果があります。 |
プラチナファーマー認定制度
プラチナファーマーとは、高品質なみかんを選定する「有田市原産地呼称管理制度」に基づき、さらにおいしく高品質なみかんの生産を継続している農家を市が認定する制度です。
認定基準は以下の通りです。
- 過去5年間、毎年審査員奨励品(総合評価8点以上)に認定されていること
- 過去5年間で、10品以上が奨励品として認定されていることもしくは、過去5年間の奨励品認定率が80%以上あること
- 過去5年間で、最高得点を1回以上獲得していること
- 過去5年間で、審査員全員から8点以上を獲得したことが1回以上あること
- 過去5年間で、審査員から10点満点を1回以上獲得していること
これらの基準を満たした農家の高品質な有田みかんが、ふるさと納税の返礼品などにも選ばれています。
有田みかんの美味しさは和歌山のみかん農家の高い意識の基で栽培されている、ということが分かります。
有田みかんの種類
有田みかんは出荷時期により味わいが変わるため、その都度名称が変わります。
時期による有田みかんの名称 | 出荷時期 |
---|---|
極早生(ごくわせ)みかん | 9~10月頃出荷 |
早生(わせ)みかん | 11月頃出荷 |
中生(なかて)みかん | 12月頃出荷 |
晩生(おくて)みかん | 12月下旬~3月頃出荷 |
極早生(ごくわせ)みかん
10月頃に出荷される極早生みかんは、まだ緑が残っているうちに収穫・出荷されます。
極早生にはゆら早生という品種がありますが、このゆら早生は平均糖度が11~12度もあり、10月から出る温州みかんの中ではダントツに甘いみかんです。
味は酸味が強くてさっぱりとした味わいになります。
早生(わせ)みかん
11月頃に出荷される早生みかんは甘さと酸味のバランスが絶妙になり、果肉の味が濃厚になります。
色は極早生から更にオレンジ色に変わって、内袋(じょうのう膜)が薄くて食べやすい一番人気のみかんです。
日本で冬に食べられるみかんとして一般に認知されています。
中生(なかて)みかん
中生みかんは有田みかんの中で出荷時期が一番短いみかんです。
甘さが強く酸味が少ない、そして外の皮が厚いため、他のみかんに比べて日持ちするようになります。
有田みかんの旬
有田みかんは時期ごとに名称を変えて出荷しているため、あえて旬をいうなら10月から1月までといえます。
自分の好みに合った旬のみかんを選んでお召し上がりください。
美味しい有田みかんの見分け方
沢山ある中で美味しいみかんを選ぶとなると、どこを見たら美味しいみかんだと分かるのでしょう?
一般の人にも区別しやすい見分け方をご紹介します。
皮の色が濃い
果実が十分に成熟するとカロチノイドという色素の成分が生成され、濃いオレンジ色に変わります。
完熟している証拠なので果肉の甘味も増しています。
ヘタ(ガク)が黄色い
緑色のヘタも実が完熟してくると黄色っぽい色に変化するため、薄い色のヘタは完熟しているサインです。
サイズが小さい
みかんの木に沢山の実ができた方が実は甘くなります。
実が沢山できるとみかんは小さくなるので、小さいサイズのみかんの方が甘さは強いです。
皮が薄い
夏の生育期間中に糖度が十分に生成されると果皮が薄くなります。
更に皮が薄いと内袋(じょうのう膜)も薄いため食べやすいみかんとなるのですが、皮が薄いみかんはむきにくいことが難点です。
皮のブツブツ(油胞)が細かい
果実が生育する過程で細胞分裂が十分に行われたことがブツブツの油胞の小ささで確認できます。
きめの細かいみかんの方が甘味は強いです。
有田みかんは日本を代表する高級みかん
有田みかんの魅力についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
出荷時期によって味わいが変わる有田みかんですが、それぞれの特徴や美味しいみかんの選び方を知った上で食べれば、より美味しさが引き立つことでしょう。
みかんが恋しい季節になったら、ぜひ和歌山の有田みかんをお召し上がりください。