コラム

和歌山とくじらの関係とは?鯨とともに生きる町、太地町の魅力について

和歌山とくじらの関係とは?鯨とともに生きる町、太地町の魅力について

和歌山県の南東部に位置した漁業の町「太地町」、美しい自然と豊かな歴史が調和した魅力あふれる町です。

古くから漁業で栄え、独自の文化や伝統が今も色濃く残るこの町には、訪れる人々を引きつける多くの見どころがあります。

なぜこの町が古くからくじらの町と言われているのか、その魅力に迫るとともに、そこに息づく歴史や文化についてご紹介します。

捕鯨発祥の地、和歌山県太地町

捕鯨発祥の地、和歌山県太地町

太地町は和歌山県東牟婁郡に位置し、日本の捕鯨文化を今に伝える歴史ある町です。

天平勝宝6年(756年)には遣唐使の吉備真備が牟漏崎(現在の燈明崎)に漂着したという記録が残されており、その歴史は古代にまで遡ります。

太地町の歩み

明治22年に太地村と森浦村が合併して太地村となり、その後、捕鯨事業やマグロ漁業の発展により人口が増加していきます。

大正14年には町制が施行され、現在の太地町となりました。

日本捕鯨の発祥

太地町は日本における捕鯨発祥の地として知られています。

武士出身の和田頼元が、兵法の観点から組織的な捕鯨に取り組み、山見(探鯨台)の設置や旗、狼煙による通信網を整備しました。

その後、孫の和田頼治が網を用いた独創的な捕鯨方法を考案したことでこの技術は公開され、西日本各地に広がっていきました。

現代の太地町の捕鯨

現在、太地町では国内法令に従い、小型鯨類を対象とした捕鯨を継続しています。

これは単なる経済活動だけでなく、日本遺産にも認定された重要な文化的価値を持っているからです。

厳しい生活環境の中で鯨類漁を通じて生計を維持して地域を支えてきた伝統は、現代にも引き継がれています。

伝統と文化の継承

太地町の捕鯨文化は、長年にわたって地域の生活を支え、独自の食文化や伝統を育んできました。

町では関係法令を遵守しながら、資源管理を徹底し、持続可能な形で捕鯨業を営んでいます。

これは地域の歴史と誇りを象徴する重要な産業として、現在も町の重要な基幹産業となっています。

参照:和歌山県 太地町でのイルカ漁業に対する和歌山県の公式見解

太地町には世界一の鯨専門博物館「くじらの博物館」がある

太地町には世界一の鯨専門博物館「くじらの博物館」がある

世界最大規模の展示と豊富な資料

太地町立くじらの博物館は、世界一のスケールを誇る鯨専門の博物館です。

館内には鯨の生態や捕鯨に関する約1,000点もの貴重な資料が展示され、日本の捕鯨発祥の地としての400年にわたる歴史を学ぶことができます。

特に注目すべきは、世界最大の動物「シロナガスクジラ」の原寸大全身骨格標本で、その迫力ある展示は圧巻です。

さらに、クジラの骨格標本や液浸標本、古式捕鯨に使用された道具類、近代捕鯨の銛や大砲、キャッチャーボート模型なども展示されています。

充実した体験型施設

博物館では単なる展示だけでなく、様々な体験プログラムを提供しています。

イルカやクジラへの餌あげ体験や、カヤックでクジラに接近して餌をあげる体験など、間近で海洋生物と触れあえる機会が豊富です。

また、イルカのダイナミックなショーや、自然の入江を活用した自然プールでのゴンドウクジラのショーなど、エンターテインメント性も充実しています。

館内の水族館「マリナリュウム」では、小型のバンドウイルカや太地周辺の魚類、甲殻類、クラゲなども観察することができるため、一日居ても飽きることがありません。

博物館本館の見どころ

本館は3階建てで、各階に特徴的な展示があります。

フロア解説
1階大ホール太地の伝統的な「古式捕鯨」を再現したジオラマや、セミクジラやシャチなどの実物全身骨格標本が展示されています。
2階生物学的な観点からクジラを紹介し、世界の海に生息する80種類以上のクジラたちについて、骨格標本や液浸標本を通じて詳しく学ぶことができます。
また、クロミンククジラの頭部模型では実物のヒゲ板を見ることができ、ヒゲクジラの口の中の構造を観察することができます。
3階400年以上にわたる人とクジラの関わりの歴史を通じて、太地の人々がどのようにクジラと共に生きてきたのかを知ることができます。
参考:くじらの博物館

「鯨とともに生きる」が日本遺産に認定

捕鯨発祥の地、和歌山県太地町

和歌山県の新宮市、那智勝浦町、太地町、串本町にまたがる「鯨とともに生きる」という文化的ストーリーが文化庁により日本遺産に認定されています。

その証として、飛鳥神社の「お弓祭り」や塩竈神社の「せみ祭り」など、鯨にまつわる祭りや伝統芸能が今も受け継がれているのです。

また、山見台跡や狼煙跡など、古式捕鯨時代の遺構が各地に残されており、かつての捕鯨文化の面影を今に伝えています。

これらの文化的価値が認められ、2021年3月までに認定された104件の日本遺産の一つとして選ばれました。

参照:日本遺産-鯨とともに生きる オフィシャルサイト

和歌山県太地町に来ればきっと鯨が好きになる!

和歌山県太地町に来ればきっと鯨が好きになる!

和歌山県太地町は日本の捕鯨発祥の地として400年以上にわたり鯨とともに歩んできた歴史ある町です。

古くからの祭りや伝統芸能が今も受け継がれ、くじら料理を味わえる場所も数多くあり和歌山の太地町にはくじらの魅力がいっぱいです。

太地町に足を運んで、熊野灘の海とくじらにまつわる豊かな文化や歴史に直接触れてみませんか。