和歌山県のグルメといって思い浮かぶ中でも「伊勢海老」を挙げる人は多いのではないでしょうか。
海老の種類は非常に多く、世界では約2800種類が生息しています。
そのうち日本で食べられているものは20種類ほどで、その代表格として伊勢海老が挙げられます。
「プリっと弾力があり濃厚な甘みを持つ高級食材の伊勢海老。」
「おめでたい席には欠かせない縁起物とされている伊勢海老。」
「ちょっと特別なときに食べたい伊勢海老。」
ここでは古くから日本人に愛されてきた伊勢海老の魅力についてご紹介します。
Contents
伊勢海老とは
和歌山県近海で育った天然物の伊勢海老は、身が引き締まっており、ぷりぷりの食感と濃厚な甘みが詰まっている高級海産物です。
伊勢海老は養殖が難しいため、国内に流通している伊勢海老のほとんどが天然物であることから高級食材として重宝されています。
参考:和歌山県
伊勢海老の生態
日本近海に生息する海老の中でも体長が20~30cmになるほどの大型な伊勢海老は、房総半島から南は台湾までの西大西洋沿岸と九州、朝鮮半島南部にのみ分布しており、日本海沿岸にもわずかですが生息が確認されています。
伊勢海老は岩礁の上や海底を歩いて移動し、外洋に面した浅い海の岩礁やサンゴ礁を棲みかにしています。
日中は岩陰でじっとしながら外敵から身を守り、夜に出てきて貝類や小さな甲殻類、小動物などを捕食しています。
伊勢海老の寿命は長い
一般的な伊勢海老の寿命は10年程と言われていますが、稀に外敵などに襲われることなく30年程生きたと思われる個体もいるようです。
伊勢海老は鳴くことができる
伊勢海老の触覚の根本には発音器と呼ばれる器官があり、擦り合わせることで「ぎーぎー」と音を出すことができます。
体の大きさに比例して音も大きくなり、タコなどの天敵を威嚇するときに鳴きます。
伊勢海老は集団行動をする
伊勢海老は集団行動をとって生きており、伊勢海老同士寄り添うようにして過ごしています。
繁殖期に入って産卵場所に移動する際にも一列に並んで行進して移動するため、その様子は「イセエビの隊列」と言われています。
節足動物の先祖である三葉虫が隊列で移動していたと考えられるため、「イセエビの隊列」も太古からの行動と言えるでしょう。
名前の由来
「伊勢」海老という名前からして伊勢で獲れたから伊勢海老という名が付いたのかと思っている方も多いかもしれませんが、実は必ずしもそうとは言い切れません。
確かに1709年に書かれた古書『大和本草』には「此の海老、伊勢より来る故、伊勢海老と号す」と記載されていることから伊勢由来の説があります。
しかし産卵期は磯に多くいるために「いそえび」が訛って「伊勢海老」になったという説や、カブトが甲冑に似ていることから「いせい(威勢)のよい海老」が略されて「いせ海老」と呼ばれるようになったという説など、伊勢海老の名前の由来にまつわるエピソードは多く存在するため、断定はできないのです。
縁起物としての伊勢海老
伊勢海老は披露宴やお正月などの祝い事に欠かせない食材ですが、その所以は、
- 長い髭と曲がった腰が健康長寿の象徴と言われている
- およそ30回の脱皮を繰り返して成長することから立身出世を表す
- 硬い殻が鎧をまとったような見た目なことから必勝祈願や武運長久を表す
以上の理由により昔から縁起物として食べられてきたのです。
鮮やかな朱赤の伊勢海老料理が並ぶと食卓が華やかになり、そういった意味でもおめでたい食材と言えるでしょう。
伊勢海老の旬
伊勢海老の美味しい旬に関してですが、産地に差があるものの大体海水温が低くなる秋~冬が旬とされています。
産卵時期が初夏~夏に当たるため、産卵後すぐの身は痩せていて味が落ちていることから、産卵が落ち着いて繁殖のために沢山捕食する時期になる11月頃からが一番の食べ頃と言えるでしょう。
和歌山では冬に刺網によって漁獲されるため、紀南の冬の代表的な食材とも言われています。
伊勢海老には禁漁期間がある
先に産卵時期について触れましたが、伊勢海老の漁期は資源保護のため初夏~夏の間は禁漁とされています。
和歌山では5月~9月16日までが禁漁期間です。
伊勢海老の名産地
伊勢海老で有名な産地は和歌山以外にもあります。
地域によって禁漁の期間が異なるため、伊勢海老が食べられる時期もそれぞれ地域ごとに異なります。
和歌山を含めた伊勢海老の産地について特徴をまとめました。
和歌山
和歌山での漁獲は太平洋側の熊野灘から県南部の紀南地方、紀淡海峡など、沿岸部全域に渡って漁獲されています。
なかでも南紀地方のリアス式海岸による複雑な潮の流れの中で育った伊勢海老は、身がしまっていて味が濃いと言われています。
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三重
三重の海は関東より南に続く浅いサンゴ礁や岩礁があり、そこで多くの伊勢海老が生息しています。
そのため三重での伊勢海老の漁獲量は日本で1位2位を争うほどです。
禁漁期間は5月1日~9月30日までと全国の産地の中で最も長く設けられています。
千葉
房総半島の沿岸部は伊勢海老のエサが豊富にあるため、千葉のほとんどの漁港で伊勢海老が水揚げされているのです。
なかでも御宿町、勝浦市、いすみ市で獲れた伊勢海老には「外房伊勢海老」というブランド名が付き、色艶、大きさ含めて品質が良いとされています。
千葉県の禁漁期間は6月1日~7月31日になります。
伊勢海老の相場
伊勢海老の価格は大きさや傷の有無、髭の有り無しによって変わってきます。
- 600グラムを超える大きいものだと1尾1万円程度
- 300グラム以下の小さい伊勢海老は1尾4,000円程度
- 傷が付いていたり髭が折れている場合は1kgで2,000円程度
伊勢海老の値段が高い理由
伊勢海老の値段が高い理由は養殖が難しいという点にあります。
- 細菌に感染しやすい
- 長い脚が絡まって折れやすい
- 個体が市場に卸せるサイズになるまでに約3年かかる
以上の理由から養殖の伊勢海老が市場に出回らないため、天然物が高値で取引されているのです。
伊勢海老の美味しい食べ方とは
高級食材である伊勢海老ですが、家庭で食べる機会はそれほど多くはないでしょう。
特別な時に食べたい伊勢海老、どうせなら美味しい食べ方で頂きたいですよね。
それでは一体どのような方法が伊勢海老を美味しく食べられるのか、調理法をいくつかご紹介します。
ぷりぷりの食感を楽しみたいなら茹で伊勢海老に
伊勢海老料理の中で最も美味しく頂ける食べ方が、茹で伊勢海老でしょう。
締まったぷりぷりの身の食感こそ正に伊勢海老の醍醐味、ミソを付けて食べれば更に美味しいこと間違いありません。
殻の出汁まで味わい尽くすなら味噌汁
高級食材と言われる伊勢海老ですが、伊勢海老の水揚げが盛んな地域では伊勢海老の味噌汁が出てくることはごく一般的です。
髭が折れたり、傷がついたものを安く手に入れることができるため、伊勢海老の味噌汁は和歌山県民の中でも一番食べられている食べ方ではないでしょうか。
伊勢海老の頭も一緒に煮込めばミソと出汁が溶け出して、濃厚な旨味と深い味わいが感じられて見た目にも豪華な一品になります。
海老の香ばしさを楽しむなら姿焼き
身と殻を一緒に焼いて香ばしさを出して食べるのであれば姿焼きがおすすめです。
焼けば身の水分が蒸発して旨味が凝縮され、ミソに火が通ればねっとりと濃厚な味に。
切った半身にマヨネーズソースを掛けて焼けばマヨネーズ焼きとなり洋風な味になります。
伊勢海老の殻はとても固いので、包丁で身を割る時は手を滑らせないように気を付けましょう。
和歌山には美味しい伊勢海老料理が沢山!現地に行った際には是非食べてみて
黒潮からもたらされた栄養豊富な海の下で育った和歌山の伊勢海老は、身が引き締まっていて濃厚な味わいが自慢の海産物です。
和歌山では美味しい伊勢海老料理を出してくれるお店が沢山ありますので、和歌山に来た際にはぜひ和歌山で水揚げされた旬の伊勢海老を味わってください。