うなぎの蒲焼きに添えられているものとして定番の山椒、ピリッと舌がひりつくような辛みや柑橘のような爽やかな香りが日本人にとって馴染み深い香辛料です。
和歌山県にある有田川町では紀州山椒の生産が盛んで、実がぶどうの房のようになることから「ぶどう山椒」と呼ばれています。
日本独特の香辛料と思われているぶどう山椒ですが、今や世界的にも注目されている香辛料となっているのです。
ここでは和歌山で獲れるぶどう山椒の魅力についてご紹介します。
Contents
和歌山のぶどう山椒とは
山椒はミカン科の落葉低木で、「ぶどう山椒」という名前は品種名になります。
実がぶどうの房のようになり、一粒一粒が他の品種に比べて大きく肉厚であるところが特徴です。
ぶどう山椒は山椒の中でも特に高級品と言われており、豊かな香りと爽やかな辛さが人気の香辛料です。
和歌山は山椒の全国シェア日本一
和歌山の山椒の収穫量は531tあり、全国収穫量の6割近くを占めています。(平成30年特産果樹生産動態等調査結果)
なので、和歌山県は山椒の全国シェア日本一の県なのです。
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香り高い山椒が育つ秘密は和歌山の気候と地形にあり
和歌山の気候と地形の特徴といえば、温暖な紀伊半島にあることと水はけのよい土壌、且つ標高が高いことから冬には積雪が見られる地域です。
ぶどう山椒は浅根性植物であるため、排水がよく乾燥した場所を好みます。
また栽培には日照時間が短く、西日が当たらない中山間の傾斜地が適しており、寒暖差があれば外気から種子を守るために皮が厚くなります。
このことから和歌山の気候や風土がぶどう山椒に適した環境であると言われているのです。
ぶどう山椒の収穫時期
収穫は実山椒が5月中~下旬、乾燥山椒が7月上旬~8月までと年に2回あります。
ぶどう山椒を収穫するにあたり、実に傷が付かないように一房一房手で摘み取りながら収穫する必要があります。
炎天下の中、勾配のきつい斜面の上で手作業で摘み取っていくことはとても重労働です。
美味しさを保つため独自の加工法
採取されたぶどう山椒は時間とともに風味が薄れてしまうため、収穫後の保管や乾燥の方法にこだわりがあります。
一般に流通されている山椒は収穫後に高温で機械的に乾燥されることが多く、これにより風味が失われてしまうことがあるのです。
ぶどう山椒は風味を保つために各産地に専用の加工場を設け、収穫後は時間をかけてゆっくりと乾燥させます。
更に粉にする際も熱が加わらない様、乾燥機の替わりに石臼を使用して、時間をかけて徐々に粉末にしていきます。
このようにして、和歌山のぶどう山椒は風味を損なわずに商品化することができているのです。
ぶどう山椒の歴史
まず山椒の歴史は、平安時代に税物として貢納されていた事が行政要覧「延喜式(えんぎしき)」にも記されており、江戸時代には薬用として栽培されています。
そしてぶどう山椒栽培の歴史は江戸時代末期の天保時代に、自生していた株を植え替えたことが始まりと記されています。
天保年間(1831〜1845年)、遠井村(現在の有田川町遠井)に住む医要木(いおき)勘右衛門が、自宅の庭で大きな実を持つ山椒を見つけ、発見以来勘右衛門がこの地で栽培を始めたことがきっかけです。
なお、医要木とは、ぶどう山椒が医療目的で使用されたことから、勘右衛門の屋号とされたそうです。
薬用としての山椒の効能
山椒に含まれる辛味成分であるサンショオールは、内臓の健康に良い影響を与えるとされています。
具体的には、以下のような効果があります。
特徴 | 効能 |
---|---|
消化不良の改善 | サンショオールは胃腸に働きかけて、消化不良の症状を緩和する効果があります。 |
整腸効果 | 山椒は腸内の調子を整え、便秘や下痢の予防に寄与します。 |
血行促進効果 | サンショオールが血管を拡張させ、血液の流れを改善するため、血行促進に寄与します。 |
新陳代謝の活性化 | 山椒の摂取は代謝を活発にし、体内のエネルギー消費を向上させる助けとなります。 |
このような効果から、山椒は胃もたれや消化不良の症状を緩和する健胃薬や漢方薬として利用されています。
同じくぶどう山椒も食用としてだけでなく、薬用としても使用されています。
山椒と相性がいい食べ物
山椒に合う食べ物を挙げると、誰もが知る定番のものから、あまり知られていないけれど相性が良い食べ物があり、様々な料理にマッチすることが分かります。
以下がその一例です。
- うなぎ
- ちりめんじゃこ
- ドレッシング
- 肉料理
- チーズ
- パスタ
- 素麺
- 焼き鳥
- 和食の鍋料理や汁物
- ウイスキー(ぶどう山椒を漬けこむ)
- チョコレート
- アイスクリーム
- ケーキ
山椒の爽やかな香りの中にある刺激は、意外とスイーツと相性が良いのです。
世界で評価されているぶどう山椒
今や山椒は日本だけでなく、世界的にも注目されている香辛料となっています。
2015年からベルギーの食材店では一般の消費者が日本の山椒を手にする事ができるようになり、そのことからEUを中心に注目され始めて、雑誌やメディアが紹介するようになりまったことで認知されるようになりました。
なかでもヨーロッパではパティシエやショコラティエからの注目度が高く、チョコレートなどのスイーツのアクセントに山椒が使用されるケースがあります。
日本でもバレンタインデーの時期に山椒を用いたチョコレートが販売されていることがあるので、口にしたことがある人も多いでしょう。
世界でも山椒の美味しさが認められていることは、日本人としてもとても誇らしいことです。
和歌山のぶどう山椒を是非食卓に
和歌山のぶどう山椒の商品を開封した瞬間の香りは非常に特別で、さまざまな料理に適していることがお分かり頂けたでしょうか。
一般に流通する市販品の山椒とは大きく異なるぶどう山椒の品質の違いを、ぜひ一度お試しください。